
株式会社モーンガータ
会社概要:「モーンガータ」とはスウェーデン特有の言葉で、本来は他言語に翻訳できない言葉。
日本語に訳すとしたら、その意味は「水面に映る、道のような月明かり」といったニュアンス。
会社概要:「モーンガータ」とはスウェーデン特有の言葉で、本来は他言語に翻訳できない言葉。
日本語に訳すとしたら、その意味は「水面に映る、道のような月明かり」といったニュアンス。
「常識や固定概念から離れてみることで新たな課題が見つかる」
― 育った環境を糧に二人の新しい視点からの展開が今後楽しみな企業であり、世の中の 様々な課題に一石を投じ、個人の主観を基より社会問題解決を日本国内から海外へと飛躍 的に発信していく新進気鋭な二人 ―

代表取締役 田中 寿典
出身地 大阪
東京大学 大学院 理学系研究科専攻
(細胞生物学や分子生物学の研究) 修士号を取得後、(株)コーセーの子会社である株式会社アルビオンの研究開発職でメイク 製品の研究開発に従事。 化粧品を絵の具に変える商品を開発する。株式会社モーンガータ代表取締役。
出身地 大阪
東京大学 大学院 理学系研究科専攻
(細胞生物学や分子生物学の研究) 修士号を取得後、(株)コーセーの子会社である株式会社アルビオンの研究開発職でメイク 製品の研究開発に従事。 化粧品を絵の具に変える商品を開発する。株式会社モーンガータ代表取締役。

取締役 田中 麻由里
出身地 大阪
関西大学 社会学部 産業心理学専攻(情動漢字に対する大脳半球の知覚処理機能の左右 差研究を卒業論文として研究) 在学中、主として認知心理学および臨床心理学の学びを深める中、アートの持つあらゆる 可能性を模索。その後、個人制作によるアクセサリーやキャンドル(アートキャンドル協 会認定)などの雑貨ビジネスに従事。 代表の田中寿典と共に株式会社モーンガータを設立
出身地 大阪
関西大学 社会学部 産業心理学専攻(情動漢字に対する大脳半球の知覚処理機能の左右 差研究を卒業論文として研究) 在学中、主として認知心理学および臨床心理学の学びを深める中、アートの持つあらゆる 可能性を模索。その後、個人制作によるアクセサリーやキャンドル(アートキャンドル協 会認定)などの雑貨ビジネスに従事。 代表の田中寿典と共に株式会社モーンガータを設立
起業に対する二人の理念とは
ー株式会社モーンガータ様を運営する代表取締役の田中さん、取締役の田中さんご姉弟の共同経営だと思うのですが、現在事業に関して、ご自身の繋がりとバックグラウンドや創業までのストーリーなどをお聞かせください。
(代表取締役 田中) 元々私自身、大学院まで進み、植物の導管とか師管の成り立ちにおける遺伝子関連の研究をしていました。そのまま博士号まで進むか、就職するかという段階に来て、もう一度自分と向き合ってみたんですよね…そもそも大学院に進んだ理由も人と何か違うことがやりたかったからっていうのがあったんです。
ーちょっと変わったものをやりたかったという感じですか?
(代表取締役 田中) そうなんです。誰しもが進めるような道にいくっていうよりかは、誰もあまり選ばない方向に行ってみたいという願望があり、修士号まで行ってみたというのもそういった理由からだったんです。でも、進学か就職かの選択時期にもう少し自分自身の世界と視野を広げるためにも、また誰もやったことないような領域に新たに再挑戦したいという自身の欲求が出てきたんです。そこで、化粧品開発というジャンルに興味を持ったわけです。
今は男性が化粧品に触れる機会も増えつつありますが、当時は、やはり化粧をするのが男性よりも女性のほうが多く、自分のこれまでの人生経験上したことがない化粧というものに魅力を感じたんです。
そこから、化粧品の研究開発ができたら面白いなと思い、化粧品会社の研究開発職という領域で就職先を探してみました。そして、一番物作りに熱心で本質的な物作りをされていると感じた企業がアルビオンというコーセーグループの企業であったわけです。私自身は、スキンケアというよりは、経験したことの無い華やかなイメージのカラーコスメ開発に興味を持ちました。スキンケア用品でも香りなどを堪能できますが、カラー化粧品は塗っている間一日中、香りや色を堪能でき、より五感を通じて楽しむことができる製品だと思ったので、自分のメッセージが質感や色として製品の裏に込めることができるのではと考えていました。
ーそのメッセージの発信はイコール情熱っていうことですか?
(代表取締役 田中) そうですね。自身の伝えたいメッセージを込めた製品に対するユーザー様の反応を見ることもまた、やりがいにつながっていたので、様々な反応を見ることができるメイクについて研究開発していきたいと思った経緯があります。
ただ、一方でそうやって結構自分なりに思いを込めたものであっても一般のユーザーの方の大多数が捨ててしまっているというお声を聞いていました。最新の我々の独自調査では 86.3%が使い切らずに捨ててしまっているというデータも出ており、そのような一般ユーザーのお声が多くある一方で、化粧品企業内でも多くの試作品や開発途上品からの廃棄品があり、どうしても仕方ないものとして排出されているのです。
それら化粧品は異物混入とかではく、問題なく使える状態のものであるため、それらをどうにか何かに変えられないかなと考えたことが、コスメを絵の具化するという着想を得たきっかけになります。どうにか他のことに転化するっていうことを考えるだけじゃなく、転化する行為自体を楽しめるツールを探したいということで、スミンクアートという事業を立ち上げたわけです。
ー 変わったものっていう視点で大学院も進学せず、化粧品の見る観点も「ちょっとこっちのほうが面白そうだな」、という少し違う着眼点から見ているという傾向が感じられるのですが、自身の性格上そういう傾向が強いということですか?
(代表取締役 田中) そうですね。おそらくある意味、天邪鬼なのだとおもいます。メイク品の開発も普通のメイク品ではなく、どっちかというと雑貨コスメとかちょっと変わった要素のコスメを作るのが以前は結構好きでしたね。
ー 本当に新しい視点へどんどん突き進むという形が結構多いのですね。
(代表取締役 田中) そうですね。
ーありがとうございます。取締役の田中さんはいかがですか?
(取締役 田中) そうですね。とてもわかりやすいのですが、私自身が昔から絵を描いたり、何かを作ったりすることがとても好きでした。また、大学で心理学を学ぶ中、箱庭や描画、コラージュ等のアート療法に触れる機会も多く、そういった実体験や授業を通して何かを表現する時間に癒しがあることを感じていました。
さらに、先ほど代表の田中がお伝えしたように、自身が化粧品を廃棄している86.3%のうちの一人でした。そんな中、どうしても余らせてしまう化粧品を勿体ないと感じ、起業する以前から個人的に使わなくなったマニュキュアや似合わない色の口紅、アイシャドウは無理やり粉にして、化粧を使った絵を描いたりしていました。そのことが化粧品を画材として楽しむという発想のもとになりました。
ー そもそも、お二人とも事前にこの事業を話し合っていたわけではなく、それぞれコスメでちょっと疑問を感じていたところというか、年月をそれぞれかけて繋がり今に至るという感じでしょうか。
(取締役 田中) そうです。私の方が年上なので、先に全然違うところで活動していたのですが、彼が大学院、就職という経緯を経た後、化粧品を通して雑貨をという目線を持ち、私は雑貨と趣味を通して化粧品に触れるという形で不思議と考えとアイディアが合致していった結果、現在に至ります。
起業する5、6年前からずっと一緒に何かできたらいいねっていう話はしていて、だったら何かをせっかくするなら、世の中の問題解決というか課題解決を目標にしようよ、と「勿体ない」と感じている化粧品のことを提案したところで、私は彼から廃棄されている多くの化粧品がある事実を知ることになります。このストーリーから彼と合致した考えになり、そこから、きちんと使い易くて、安全性に考慮した画材に変えようという考えが始まったと思っております。
ーやっぱりご姉弟だからですかね、歩んできた道もそれぞれ違うのに最終的に同事業を行うのはすごいと思います。起業されるに至ってはタイミングだけという感じですね。
(取締役 田中)彼が化粧品会社に行かなかったらやっぱりこの会社は生まれなかった思いますね。
「一人時間」の使い方について
それぞれお二人とも様々な廃棄品から Sminkart を製造しお忙しいと思いますが、一人時間のどんな時間でも良いのですが、自分の時間が例えば 10 分とか短い時間でも長い時間でも一日でも一週間でも、もし何か自由時間があった時にご自身でどういうことをされていますか?
(代表取締役 田中)若い頃は結構体を動かすのが好きでして、一人でサッカーボールを蹴って気分転換していましたね。でも、最近は体を動かすというより、学生の頃やっていたギターで昔の曲を弾いてみたりしてますね。
ー 大学のときからギターを始め、現在もちょっと時間があるときに息抜きというかそういう感じですね。
(代表取締役 田中) そうですね
ーギターなど以外で何かほかにも行っていることはありますか?
(代表取締役 田中) それ以外だと携帯で夜中とか仕事終えてお風呂はいって寝るまでの間に小説は結構読んだりしているかと。
ービジネス系ではなく小説ですか?好みとして小説をお選びになられているのですか?
(代表取締役 田中) そうですね。一日中ビジネスのこと考えていたくないので。ある意味一日の締めくくりの現実逃避かもしれないですね。
ーなるほど。締めくくりをちょっと非現実的なストーリーに昇華しているのですね。
(代表取締役 田中) はい。もう別世界に飛ぶ感じで。でも、読書については浮き沈みがありますね。そのときどきの。読む気力があったりなかったりと。ただ起業して以降はかなり多くなったかなとおもいます。
ー逆に忙しくなればなるほどそういう習慣が増えたということは頭の中がとても煮詰まってきているのがご自身でわかってらっしゃるからですか?
(代表取締役 田中) そうですね。寝る間際とか真剣に自分の企業のことで考えたりすると中々寝つきも悪くなりますし、考え始めると芋づる形式でいろんなことを考えてしまうので、それを避けるというのも一つあるのかなと思っています。
ー取締役の田中さんも同じく読書とかですか?
(取締役 田中) 私も読書は好きなんですけど、彼とはちょっと内容が違いますね。どちらかというと推理小説とかが好きで、その系統を読みます。読書では考えたりできるものの方が好みでどうしても読んでしまいます。あと、私の場合はやっぱり散歩ですかね。
ー散歩はスッキリしますよね。ペットとか飼ってらっしゃるのですか?
(取締役 田中) 今は飼ってないのですが、実家に猫がおります。その昔は三匹のゴールデンレトリバーと暮らしていました。
ー散歩とかなら気軽に都内でもできますし、ランニングしている方も多数いますしね。
(取締役 田中) 景色を楽しむのはもちろん、昔から一人で展示会や音楽鑑賞、雑貨屋を見に行くのがとても好きで、そういう自分の中では「ふらっといろいろなものを見に行くこと」が散歩になっています。出かけて、何か自分の中に良い気持ちを持って帰るというのがとても好きです。
ー自分の好きなものを見に行くということが散歩というカテゴリーは面白い表現ですね。普通に歩いているとかではなく、おしゃれな散歩ですね。
「二人にとっての人生のターニングポイントとは」
これまで様々なストーリーを聞かせていただきましたが、個々で最大のターニングポイントだったなというところと、そのターニングポイントに直面したときに決断した背景はありますか?
(代表取締役 田中) 前職の在職中の後半ぐらいですかね、会社を退社する 2、 3 年くらい前のときに、段々と物作りのマンネリ化というか…作りたい自分の技術者としての像みたいなものがあって、それと現状の自分との間にある乖離みたいなものを感じている中、どういう原因なのかはなんとなく自分の中でつかみかけているけれどモヤモヤしているなという時、あっ!と気づくきっかけを与えてくれたコーセー研究所のとある方の一言になると思います。
製品開発ってこれまでの製品をリニューアルするか、もしくは全く新しいものをつくるっていうどちらかなのですが、そのリニューアルするものってすでに前任者の色がすでにその製品の中に入っているじゃないですか。
ーそれはすでに最初の基盤がある状態ですものね。
(代表取締役 田中) そうなんです。それで、僕は前任者の作品(商品)をリニューアルする時、これまでは製品を開発するにあたっての処方=レシピを組む手法として、自分の色を付け足していたのですが、そうではなく一回シンプル化するために差し引き、そこに自分の色を加えることをすると、かなり自分の作りたいものが作れるようになりました。そういう差し引いてから足すっていうことをやってみるというシンプル化が技術者としての一つのステージのアップに繋がったと思います。日頃過ごす上で持っている価値観にも影響していて、結構いろんな事象に対して、シンプル化してから足してあげることをしています。これが、私のターニングポイントなんだろうなと思います。
ーまさしく鶴の一声ですね。それはどういったお言葉だったのですか?
(代表取締役 田中) それは、その方が日頃から私のことを気に掛けてくださり、私の仕事ぶり自体も客観的に見てくださっていたときに、「色々と足しすぎなんじゃない?」と声をかけてくれたんです。
ー足し算ではなく、引き算でシンプルにというところのアイデアをいただいたのはその方のお声があったのですね。
(代表取締役 田中) そうです。本当にそのまま差し引いてみたらいいんじゃない?ということを言いたかったんだと思うのですが、それだと直結する答えになっちゃうので彼は彼なりのヒントとして、足しすぎなんじゃない?って言葉をくれたと思っていて、自己解釈的に、「あー、足すんじゃないんだ。やっぱり。」と思って、一回引いてみてそこから何か俯瞰的にみえたときに、ああ足せばいいんだ、という方程式のような考えに至ったという感じですね。
ー取締役の田中さまのターニングポイントは何ですか?
(取締役 田中) 私は彼のようなポジティブなターニングポイントではなかったかなと思うんですけど、大学時代にすごく傷ついたことがあり、信じていた友人からの一言でしたね。
相手からすれば傷つく一言を発した意識はなかったと思いますが、結果その一言がとても衝撃的で、頭から離れなくなってしまいました。そのときの言葉が、自分の中の意識内で起こったターニングポイントになるのかなと思っています。 言葉一つでここまで深く傷をつけられるのだなということを強く感じ、自身も日頃から言葉には気をつけているつもりだけれど、より一層、自分自身から放たれる言葉にも気をつけなければというのをこの機会に深く感じました。それからは人に対して何か話す際にも言葉を尽くすということを大切にするようになりましたし、また、絶対あんな風な人間にならないぞ!と思うようになりましたね。なりたい自分は見えにくくても、なりたくない!は見つけやすいようです。
ー苦い経験ですが、今に至っては反骨心みたいな感じですね。
(取締役 田中) 反面教師ではないですけど、私は人を不快にさせるんじゃなくて、できれば「喜んでもらえたり、心が癒されたりするようなことがしたいな」という風により一層強く思うようになったのはありますね。
「自己対峙できる人・できない人」
なにか強くなれる人となれない人っているじゃないですか。本当に人を信じられないとかどん底に陥ってしまいそこから這い上がれない人の二者に分かれると思うのですが、その点どのようにお考えですか?
(取締役 田中) それまでたぶん手放しに人のことをいっぱい信じていたんですよね。みんなそんなに悪意には満ちてはいないだろうっていうものを感じていて。実際、そういう人のほうがやはり大多数だと思ってはいるのですが。
それでもたまに、まるで事故のように、そういう衝撃的なネガティブ経験に出会うこともあるんだなと。それに出会ってしまったならば、行動として先に這い上がろうというよりは、まず、「あぁそうか!」という自分の中での意識の変革を起こすのが、やっぱり自身には必要だったのかなと思います。誰しもが体験することではないことを、私が経験した。それは今後、同じようなことを体験する人にとって力になるかもしれないし、ただ頷き合うきっかけになるかもしれない。その頃はとても苦しい時間でしたが、今では少し変わった学びの時だったのかなって思います。
ちょっとだけ、見返してやろう!っていうのもあるかもしれませんね、もしかしたら。
「感謝している人物像とは」
既に様々なエピソードを聞かせていただいたのですが、お二人にとって一番感謝している人物とその方に対してなぜ感謝しているかという理由があれば教えてください。
(代表取締役 田中) たぶんこれは二人揃って両親って言うと思います。間違いなくもう、この世で一番段違いで感謝していますね。
(取締役 田中) 尊敬していますね。
ー 尊敬している方がお二人とも揃って両親とのことですが、理由としてはやはり産んでくれたからというのもあるかと思いますが、特にご両親に対し何に感謝をされていますか?
(取締役 田中) そうですね。やっぱり幼い頃から愛情を注いでくれたことと、一人の人間として話をするという機会をずっと持ち続けてくれたのかなとおもっていますね。例えばおこられたときでも、一言きつく怒った後、何に怒っているのかあえて言わずにちょっと放置されるんですよ。
ー世間的には親から一方的に怒られると思うのですが、最初に怒らずまた聞いてもこないんですね。
(取締役 田中) そうなんです。そこでしばらくして冷静になるじゃないですか。その時に改めて「何が悪かったんだと思う?」という問いかけをされるんですね。
兄弟げんかの時なんかは、一人一人順番に、何々をした理由はこうで、でもここが悪かったと思います。ごめんなさいと考えをこたえていき、その後さらに、「じゃあどうしたらいいと思う?」という風に改善すべきポイントを自分たちで考えるようにように聞かれます。
ーそれすごいご両親ですね。怒る怒らないとかじゃなくてとりあえず聞いてあげるということを先行していたっていうことですよね。
(代表取締役 田中) 両親とも役割分担がちゃんとしていた気がするなと感じています。
母親は根づいている自分たちの価値観と気持ちの上での価値観という、人と接する上での優しさであったりとか厳しさであったり感謝の気持ちなど、感覚的なところでフォローしてくれていたなと感じています。
僕らの価値観が出来上がったのも母親の影響がかなり多大にあると思います。一方で父親からはもっと生きていくコツというか、よく言われるのが、「ちゃんと生活しているか」ってよく聞かれます、生活っていう意味が普通に生きているっていうことじゃなくて字の通り「生きていることを活かしているか」という話をよくされるんですよね。
ーこれはいつ頃からですか?
(代表取締役 田中) これはもう10代の頃からです。自分が興味を持ったことがあるならとことんやってみて、社会や周りの環境にどう活かしているか…それらに対しての跳ね返りで反映される自分自身の位置を確認することとか。自分の存在意義を知り、自分が生きていることを活かしてやりがいを感じて生きていくことの大切さを教えてくれたと思います。
「今後の展開について」
お二人ともソロウェルネスに通じる考えを既にお持ちですね。素晴らしいご両親からの教えがあっての人格形成であり、ターニングポイントがあって今に至るみたいな形があり素敵ですね。
各質問させていただいたことからですが、今後の展開も含めお二人ともがどのように今後会社やご自身を基軸とし、展開していきたいと考えていることがあれば教えていただきたいなと思います。
(代表取締役 田中) 自身としては、この事業を安定化させて人並みに暮らしをしていきたいとは思っております。ただ何かお金が稼ぎたいというよりかは「自分たちのやっている取り組みに関して共感していただける人の輪を増やしていきたい」と考えています。
それが生きがいになると自分では感じでいます。後は企業展開としては今、廃棄のコスメに関して焦点を当てていますが、コスメでやれる幅というのをもっと今後は生活の身の周りのものに広げていきたいです。例えばレンガ・カーテン・壁材の色材など、廃棄コスメを活用して全く違うこれまでにない新しい価値のものを、世に提供していきたいと思っています。一方で、ただコスメだけにとどまらず他の分野にも着手できればと考えているのもありますけどね。
ー他業種とは現在の事業を基軸にということですか?
(代表取締役 田中) そうですね。本当にやりたいことがいっぱいあり、まずはスミンクアートという事業を通してコスメを基軸として海外展開まで視野に入れ、この2 年以内では海外も販売しているような状況にしたいと考えています。
ーとても素晴らしいお考えですね。やはり社長というのもあると思いますが、今後の展開も含めてお二人の企業理念なども今後楽しみですね。
(代表取締役 田中) 何かサービスとか物を提供しようとするときは絶対に一番大事にしたいのが「課題感」だと考えています。 ふとした瞬間に気づいている課題があるにもかかわらず、そのままうやむやにして忘れてしまっていることが良くあります。でもそれを突き詰めていくと、結構シンプルで深層的な課題に繋がることが多々あります。こういった課題のブラッシュアップは潜在的にみんなが抱えている共通課題だったりすることもあるので、ビジネスだけでなく、人間関係とかにも役に立ってくると思うんです。
ー探究心が基軸ですね。取締役の田中さまはその点いかがですか?
(取締役 田中) 今後の展開としてまずはこの事業をもっと深めていきたいなということが一番ですが、その為にもスミンクアートを通じて知り合えた方々ともっと会話を重ねていくことを大切にしていきたいです。そして、これからも直感的に「面白い」と感じることに目を向けていきたいなと考えています。自分の中だけでの決断はなくて、弟である代表と話すことにより「やっぱりこれ面白いよね」と合うときがあるんですよ。そういうものを積極的に取り入れていきたいというのがあります。
ーこの「面白い」という基準は、ご自身の中で色々な角度から、社長の田中さんの方は探究心の課題、社会的な課題を掘り下げ、取締役の田中さまにおいては「楽しみ提案、面白いの発信という角度から深めていく」とダブルでより面白く広げていきたいとお考えなのですね。
(取締役 田中) そうですね。論理的思考派と感覚派が融合して面白いと感じるものであれば、きっと良いものが生み出されるんじゃないかと思っています。
ーお二人のコラボレーションがとても良いですよね。アイデアをポンって出した時にそれを深掘りしてくれる人がいるからいいですよね。お二人はやっぱりとてもマッチしているのですね。ご姉弟というのもあって。
(取締役 田中) 物事を見る際の視点や角度、思考する手法はたぶんお互い違うと思うんですけど、共通して持ち合わせている部分があるのは感じますね。
ーありがとうございます。対照的かと思いきやどこかで通じているものがあるというのがいろいろ質問させていただいてとても感じたので、良い掛け算になりどんどん広がっていくのはすごく想像ができるので今後もすごく楽しみですね。
「現代社会人へのメッセージ」
最後の質問ですが、お二人から現代社会、社会人と括った枠の方々へ、メンタル面などから伝えたいことっていうメッセージがあればいただけたらなと思います。
(代表取締役 田中) 最近よく2人で「僕らの製品とかサービスを通じて何が提供できるだろうとか」ということを考えています。
そこで、色々な企業様とのプロジェクトもやっていきたいなという考えに至り、現在、進めていこうとしているところです。世の中の常識や固定概念、習慣など、日本社会ではそこから離れること、「異質である」ことに対して何か違和感を持たれたり、嫌悪されたりする環境があるかと思います。
この様な劣等感や一体性からの乖離による無意味な不安や嫌悪の感情自体に縛られる時間の方が勿体無いなって正直思っています。何でも自分が思った事をはっきり言えばいいわけではないですけど、しっかりと見極め、自分なりの判断基準を設けることが大事ですよね。画一性とか固定観念を元に比較して、自分がこういう風に考えているのは別に良いじゃないかと、自分で肯定していくことも一つの道だと考えます。こういった考えもあって、我々は、コスメとして全うできなかったコスメをコスメという固定概念を超え、アップサイクルすることで、コスメ由来の絵具という新ジャンルの商品を発表した形になります。
(取締役 田中) まったく彼と同意見なのですが、やはり父の言葉を思い出しますね。中学生くらいの頃、父に「みかんの色は何色だと思う?」と聞かれました。
やっぱりオレンジやイエロー系と答えていたんですけど、「本当にそうか?」という問いか けがさらにあり、「みかんっていうのはみかん色でしかない」と父は答えました。みかんは実がなりたての頃は緑であり、黄色であり、成長過程でどんどん移り変わります。そしてこの何色?という問いかけに対して、大体の人は、人にとって都合のいいおいしい実がなるときの色を答えてしまうのです。
これはある意味、固定概念で、もしかしたら 1 クラス 30 人の生徒にみかんの色を聞いた時、たった一人だけ緑!と答える人がいるかもしれない。決して間違いではないのに、その意見を勇気や自信をもって言えるという環境は今、やっぱり少なくて、 固定概念の壁を超えるということは、自身の視野を広げていくためにも、また周りにとっての気づきの起点となるためにも、特に大事なことだと思います。
ー 常識から一歩離れる、固定概念を取っ払うというお考え、確かにこのみかんの色のストーリーでとても考えさせられました。何色だって聞くお父様もすごいですよね。
(代表取締役 田中) 気づかされる部分が多い環境で育ったというか、常識から外れろという意図があったのかと思います。
(取締役 田中) たしかに常識から外れろはあるかもしれないですね。
(代表取締役 田中) 元々私自身、大学院まで進み、植物の導管とか師管の成り立ちにおける遺伝子関連の研究をしていました。そのまま博士号まで進むか、就職するかという段階に来て、もう一度自分と向き合ってみたんですよね…そもそも大学院に進んだ理由も人と何か違うことがやりたかったからっていうのがあったんです。
ーちょっと変わったものをやりたかったという感じですか?
(代表取締役 田中) そうなんです。誰しもが進めるような道にいくっていうよりかは、誰もあまり選ばない方向に行ってみたいという願望があり、修士号まで行ってみたというのもそういった理由からだったんです。でも、進学か就職かの選択時期にもう少し自分自身の世界と視野を広げるためにも、また誰もやったことないような領域に新たに再挑戦したいという自身の欲求が出てきたんです。そこで、化粧品開発というジャンルに興味を持ったわけです。
今は男性が化粧品に触れる機会も増えつつありますが、当時は、やはり化粧をするのが男性よりも女性のほうが多く、自分のこれまでの人生経験上したことがない化粧というものに魅力を感じたんです。
そこから、化粧品の研究開発ができたら面白いなと思い、化粧品会社の研究開発職という領域で就職先を探してみました。そして、一番物作りに熱心で本質的な物作りをされていると感じた企業がアルビオンというコーセーグループの企業であったわけです。私自身は、スキンケアというよりは、経験したことの無い華やかなイメージのカラーコスメ開発に興味を持ちました。スキンケア用品でも香りなどを堪能できますが、カラー化粧品は塗っている間一日中、香りや色を堪能でき、より五感を通じて楽しむことができる製品だと思ったので、自分のメッセージが質感や色として製品の裏に込めることができるのではと考えていました。
ーそのメッセージの発信はイコール情熱っていうことですか?
(代表取締役 田中) そうですね。自身の伝えたいメッセージを込めた製品に対するユーザー様の反応を見ることもまた、やりがいにつながっていたので、様々な反応を見ることができるメイクについて研究開発していきたいと思った経緯があります。
ただ、一方でそうやって結構自分なりに思いを込めたものであっても一般のユーザーの方の大多数が捨ててしまっているというお声を聞いていました。最新の我々の独自調査では 86.3%が使い切らずに捨ててしまっているというデータも出ており、そのような一般ユーザーのお声が多くある一方で、化粧品企業内でも多くの試作品や開発途上品からの廃棄品があり、どうしても仕方ないものとして排出されているのです。
それら化粧品は異物混入とかではく、問題なく使える状態のものであるため、それらをどうにか何かに変えられないかなと考えたことが、コスメを絵の具化するという着想を得たきっかけになります。どうにか他のことに転化するっていうことを考えるだけじゃなく、転化する行為自体を楽しめるツールを探したいということで、スミンクアートという事業を立ち上げたわけです。
ー 変わったものっていう視点で大学院も進学せず、化粧品の見る観点も「ちょっとこっちのほうが面白そうだな」、という少し違う着眼点から見ているという傾向が感じられるのですが、自身の性格上そういう傾向が強いということですか?
(代表取締役 田中) そうですね。おそらくある意味、天邪鬼なのだとおもいます。メイク品の開発も普通のメイク品ではなく、どっちかというと雑貨コスメとかちょっと変わった要素のコスメを作るのが以前は結構好きでしたね。
ー 本当に新しい視点へどんどん突き進むという形が結構多いのですね。
(代表取締役 田中) そうですね。
ーありがとうございます。取締役の田中さんはいかがですか?
(取締役 田中) そうですね。とてもわかりやすいのですが、私自身が昔から絵を描いたり、何かを作ったりすることがとても好きでした。また、大学で心理学を学ぶ中、箱庭や描画、コラージュ等のアート療法に触れる機会も多く、そういった実体験や授業を通して何かを表現する時間に癒しがあることを感じていました。
さらに、先ほど代表の田中がお伝えしたように、自身が化粧品を廃棄している86.3%のうちの一人でした。そんな中、どうしても余らせてしまう化粧品を勿体ないと感じ、起業する以前から個人的に使わなくなったマニュキュアや似合わない色の口紅、アイシャドウは無理やり粉にして、化粧を使った絵を描いたりしていました。そのことが化粧品を画材として楽しむという発想のもとになりました。
ー そもそも、お二人とも事前にこの事業を話し合っていたわけではなく、それぞれコスメでちょっと疑問を感じていたところというか、年月をそれぞれかけて繋がり今に至るという感じでしょうか。
(取締役 田中) そうです。私の方が年上なので、先に全然違うところで活動していたのですが、彼が大学院、就職という経緯を経た後、化粧品を通して雑貨をという目線を持ち、私は雑貨と趣味を通して化粧品に触れるという形で不思議と考えとアイディアが合致していった結果、現在に至ります。
起業する5、6年前からずっと一緒に何かできたらいいねっていう話はしていて、だったら何かをせっかくするなら、世の中の問題解決というか課題解決を目標にしようよ、と「勿体ない」と感じている化粧品のことを提案したところで、私は彼から廃棄されている多くの化粧品がある事実を知ることになります。このストーリーから彼と合致した考えになり、そこから、きちんと使い易くて、安全性に考慮した画材に変えようという考えが始まったと思っております。
ーやっぱりご姉弟だからですかね、歩んできた道もそれぞれ違うのに最終的に同事業を行うのはすごいと思います。起業されるに至ってはタイミングだけという感じですね。
(取締役 田中)彼が化粧品会社に行かなかったらやっぱりこの会社は生まれなかった思いますね。
「一人時間」の使い方について
それぞれお二人とも様々な廃棄品から Sminkart を製造しお忙しいと思いますが、一人時間のどんな時間でも良いのですが、自分の時間が例えば 10 分とか短い時間でも長い時間でも一日でも一週間でも、もし何か自由時間があった時にご自身でどういうことをされていますか?
(代表取締役 田中)若い頃は結構体を動かすのが好きでして、一人でサッカーボールを蹴って気分転換していましたね。でも、最近は体を動かすというより、学生の頃やっていたギターで昔の曲を弾いてみたりしてますね。
ー 大学のときからギターを始め、現在もちょっと時間があるときに息抜きというかそういう感じですね。
(代表取締役 田中) そうですね
ーギターなど以外で何かほかにも行っていることはありますか?
(代表取締役 田中) それ以外だと携帯で夜中とか仕事終えてお風呂はいって寝るまでの間に小説は結構読んだりしているかと。
ービジネス系ではなく小説ですか?好みとして小説をお選びになられているのですか?
(代表取締役 田中) そうですね。一日中ビジネスのこと考えていたくないので。ある意味一日の締めくくりの現実逃避かもしれないですね。
ーなるほど。締めくくりをちょっと非現実的なストーリーに昇華しているのですね。
(代表取締役 田中) はい。もう別世界に飛ぶ感じで。でも、読書については浮き沈みがありますね。そのときどきの。読む気力があったりなかったりと。ただ起業して以降はかなり多くなったかなとおもいます。
ー逆に忙しくなればなるほどそういう習慣が増えたということは頭の中がとても煮詰まってきているのがご自身でわかってらっしゃるからですか?
(代表取締役 田中) そうですね。寝る間際とか真剣に自分の企業のことで考えたりすると中々寝つきも悪くなりますし、考え始めると芋づる形式でいろんなことを考えてしまうので、それを避けるというのも一つあるのかなと思っています。
ー取締役の田中さんも同じく読書とかですか?
(取締役 田中) 私も読書は好きなんですけど、彼とはちょっと内容が違いますね。どちらかというと推理小説とかが好きで、その系統を読みます。読書では考えたりできるものの方が好みでどうしても読んでしまいます。あと、私の場合はやっぱり散歩ですかね。
ー散歩はスッキリしますよね。ペットとか飼ってらっしゃるのですか?
(取締役 田中) 今は飼ってないのですが、実家に猫がおります。その昔は三匹のゴールデンレトリバーと暮らしていました。
ー散歩とかなら気軽に都内でもできますし、ランニングしている方も多数いますしね。
(取締役 田中) 景色を楽しむのはもちろん、昔から一人で展示会や音楽鑑賞、雑貨屋を見に行くのがとても好きで、そういう自分の中では「ふらっといろいろなものを見に行くこと」が散歩になっています。出かけて、何か自分の中に良い気持ちを持って帰るというのがとても好きです。
ー自分の好きなものを見に行くということが散歩というカテゴリーは面白い表現ですね。普通に歩いているとかではなく、おしゃれな散歩ですね。
「二人にとっての人生のターニングポイントとは」
これまで様々なストーリーを聞かせていただきましたが、個々で最大のターニングポイントだったなというところと、そのターニングポイントに直面したときに決断した背景はありますか?
(代表取締役 田中) 前職の在職中の後半ぐらいですかね、会社を退社する 2、 3 年くらい前のときに、段々と物作りのマンネリ化というか…作りたい自分の技術者としての像みたいなものがあって、それと現状の自分との間にある乖離みたいなものを感じている中、どういう原因なのかはなんとなく自分の中でつかみかけているけれどモヤモヤしているなという時、あっ!と気づくきっかけを与えてくれたコーセー研究所のとある方の一言になると思います。
製品開発ってこれまでの製品をリニューアルするか、もしくは全く新しいものをつくるっていうどちらかなのですが、そのリニューアルするものってすでに前任者の色がすでにその製品の中に入っているじゃないですか。
ーそれはすでに最初の基盤がある状態ですものね。
(代表取締役 田中) そうなんです。それで、僕は前任者の作品(商品)をリニューアルする時、これまでは製品を開発するにあたっての処方=レシピを組む手法として、自分の色を付け足していたのですが、そうではなく一回シンプル化するために差し引き、そこに自分の色を加えることをすると、かなり自分の作りたいものが作れるようになりました。そういう差し引いてから足すっていうことをやってみるというシンプル化が技術者としての一つのステージのアップに繋がったと思います。日頃過ごす上で持っている価値観にも影響していて、結構いろんな事象に対して、シンプル化してから足してあげることをしています。これが、私のターニングポイントなんだろうなと思います。
ーまさしく鶴の一声ですね。それはどういったお言葉だったのですか?
(代表取締役 田中) それは、その方が日頃から私のことを気に掛けてくださり、私の仕事ぶり自体も客観的に見てくださっていたときに、「色々と足しすぎなんじゃない?」と声をかけてくれたんです。
ー足し算ではなく、引き算でシンプルにというところのアイデアをいただいたのはその方のお声があったのですね。
(代表取締役 田中) そうです。本当にそのまま差し引いてみたらいいんじゃない?ということを言いたかったんだと思うのですが、それだと直結する答えになっちゃうので彼は彼なりのヒントとして、足しすぎなんじゃない?って言葉をくれたと思っていて、自己解釈的に、「あー、足すんじゃないんだ。やっぱり。」と思って、一回引いてみてそこから何か俯瞰的にみえたときに、ああ足せばいいんだ、という方程式のような考えに至ったという感じですね。
ー取締役の田中さまのターニングポイントは何ですか?
(取締役 田中) 私は彼のようなポジティブなターニングポイントではなかったかなと思うんですけど、大学時代にすごく傷ついたことがあり、信じていた友人からの一言でしたね。
相手からすれば傷つく一言を発した意識はなかったと思いますが、結果その一言がとても衝撃的で、頭から離れなくなってしまいました。そのときの言葉が、自分の中の意識内で起こったターニングポイントになるのかなと思っています。 言葉一つでここまで深く傷をつけられるのだなということを強く感じ、自身も日頃から言葉には気をつけているつもりだけれど、より一層、自分自身から放たれる言葉にも気をつけなければというのをこの機会に深く感じました。それからは人に対して何か話す際にも言葉を尽くすということを大切にするようになりましたし、また、絶対あんな風な人間にならないぞ!と思うようになりましたね。なりたい自分は見えにくくても、なりたくない!は見つけやすいようです。
ー苦い経験ですが、今に至っては反骨心みたいな感じですね。
(取締役 田中) 反面教師ではないですけど、私は人を不快にさせるんじゃなくて、できれば「喜んでもらえたり、心が癒されたりするようなことがしたいな」という風により一層強く思うようになったのはありますね。
「自己対峙できる人・できない人」
なにか強くなれる人となれない人っているじゃないですか。本当に人を信じられないとかどん底に陥ってしまいそこから這い上がれない人の二者に分かれると思うのですが、その点どのようにお考えですか?
(取締役 田中) それまでたぶん手放しに人のことをいっぱい信じていたんですよね。みんなそんなに悪意には満ちてはいないだろうっていうものを感じていて。実際、そういう人のほうがやはり大多数だと思ってはいるのですが。
それでもたまに、まるで事故のように、そういう衝撃的なネガティブ経験に出会うこともあるんだなと。それに出会ってしまったならば、行動として先に這い上がろうというよりは、まず、「あぁそうか!」という自分の中での意識の変革を起こすのが、やっぱり自身には必要だったのかなと思います。誰しもが体験することではないことを、私が経験した。それは今後、同じようなことを体験する人にとって力になるかもしれないし、ただ頷き合うきっかけになるかもしれない。その頃はとても苦しい時間でしたが、今では少し変わった学びの時だったのかなって思います。
ちょっとだけ、見返してやろう!っていうのもあるかもしれませんね、もしかしたら。
「感謝している人物像とは」
既に様々なエピソードを聞かせていただいたのですが、お二人にとって一番感謝している人物とその方に対してなぜ感謝しているかという理由があれば教えてください。
(代表取締役 田中) たぶんこれは二人揃って両親って言うと思います。間違いなくもう、この世で一番段違いで感謝していますね。
(取締役 田中) 尊敬していますね。
ー 尊敬している方がお二人とも揃って両親とのことですが、理由としてはやはり産んでくれたからというのもあるかと思いますが、特にご両親に対し何に感謝をされていますか?
(取締役 田中) そうですね。やっぱり幼い頃から愛情を注いでくれたことと、一人の人間として話をするという機会をずっと持ち続けてくれたのかなとおもっていますね。例えばおこられたときでも、一言きつく怒った後、何に怒っているのかあえて言わずにちょっと放置されるんですよ。
ー世間的には親から一方的に怒られると思うのですが、最初に怒らずまた聞いてもこないんですね。
(取締役 田中) そうなんです。そこでしばらくして冷静になるじゃないですか。その時に改めて「何が悪かったんだと思う?」という問いかけをされるんですね。
兄弟げんかの時なんかは、一人一人順番に、何々をした理由はこうで、でもここが悪かったと思います。ごめんなさいと考えをこたえていき、その後さらに、「じゃあどうしたらいいと思う?」という風に改善すべきポイントを自分たちで考えるようにように聞かれます。
ーそれすごいご両親ですね。怒る怒らないとかじゃなくてとりあえず聞いてあげるということを先行していたっていうことですよね。
(代表取締役 田中) 両親とも役割分担がちゃんとしていた気がするなと感じています。
母親は根づいている自分たちの価値観と気持ちの上での価値観という、人と接する上での優しさであったりとか厳しさであったり感謝の気持ちなど、感覚的なところでフォローしてくれていたなと感じています。
僕らの価値観が出来上がったのも母親の影響がかなり多大にあると思います。一方で父親からはもっと生きていくコツというか、よく言われるのが、「ちゃんと生活しているか」ってよく聞かれます、生活っていう意味が普通に生きているっていうことじゃなくて字の通り「生きていることを活かしているか」という話をよくされるんですよね。
ーこれはいつ頃からですか?
(代表取締役 田中) これはもう10代の頃からです。自分が興味を持ったことがあるならとことんやってみて、社会や周りの環境にどう活かしているか…それらに対しての跳ね返りで反映される自分自身の位置を確認することとか。自分の存在意義を知り、自分が生きていることを活かしてやりがいを感じて生きていくことの大切さを教えてくれたと思います。
「今後の展開について」
お二人ともソロウェルネスに通じる考えを既にお持ちですね。素晴らしいご両親からの教えがあっての人格形成であり、ターニングポイントがあって今に至るみたいな形があり素敵ですね。
各質問させていただいたことからですが、今後の展開も含めお二人ともがどのように今後会社やご自身を基軸とし、展開していきたいと考えていることがあれば教えていただきたいなと思います。
(代表取締役 田中) 自身としては、この事業を安定化させて人並みに暮らしをしていきたいとは思っております。ただ何かお金が稼ぎたいというよりかは「自分たちのやっている取り組みに関して共感していただける人の輪を増やしていきたい」と考えています。
それが生きがいになると自分では感じでいます。後は企業展開としては今、廃棄のコスメに関して焦点を当てていますが、コスメでやれる幅というのをもっと今後は生活の身の周りのものに広げていきたいです。例えばレンガ・カーテン・壁材の色材など、廃棄コスメを活用して全く違うこれまでにない新しい価値のものを、世に提供していきたいと思っています。一方で、ただコスメだけにとどまらず他の分野にも着手できればと考えているのもありますけどね。
ー他業種とは現在の事業を基軸にということですか?
(代表取締役 田中) そうですね。本当にやりたいことがいっぱいあり、まずはスミンクアートという事業を通してコスメを基軸として海外展開まで視野に入れ、この2 年以内では海外も販売しているような状況にしたいと考えています。
ーとても素晴らしいお考えですね。やはり社長というのもあると思いますが、今後の展開も含めてお二人の企業理念なども今後楽しみですね。
(代表取締役 田中) 何かサービスとか物を提供しようとするときは絶対に一番大事にしたいのが「課題感」だと考えています。 ふとした瞬間に気づいている課題があるにもかかわらず、そのままうやむやにして忘れてしまっていることが良くあります。でもそれを突き詰めていくと、結構シンプルで深層的な課題に繋がることが多々あります。こういった課題のブラッシュアップは潜在的にみんなが抱えている共通課題だったりすることもあるので、ビジネスだけでなく、人間関係とかにも役に立ってくると思うんです。
ー探究心が基軸ですね。取締役の田中さまはその点いかがですか?
(取締役 田中) 今後の展開としてまずはこの事業をもっと深めていきたいなということが一番ですが、その為にもスミンクアートを通じて知り合えた方々ともっと会話を重ねていくことを大切にしていきたいです。そして、これからも直感的に「面白い」と感じることに目を向けていきたいなと考えています。自分の中だけでの決断はなくて、弟である代表と話すことにより「やっぱりこれ面白いよね」と合うときがあるんですよ。そういうものを積極的に取り入れていきたいというのがあります。
ーこの「面白い」という基準は、ご自身の中で色々な角度から、社長の田中さんの方は探究心の課題、社会的な課題を掘り下げ、取締役の田中さまにおいては「楽しみ提案、面白いの発信という角度から深めていく」とダブルでより面白く広げていきたいとお考えなのですね。
(取締役 田中) そうですね。論理的思考派と感覚派が融合して面白いと感じるものであれば、きっと良いものが生み出されるんじゃないかと思っています。
ーお二人のコラボレーションがとても良いですよね。アイデアをポンって出した時にそれを深掘りしてくれる人がいるからいいですよね。お二人はやっぱりとてもマッチしているのですね。ご姉弟というのもあって。
(取締役 田中) 物事を見る際の視点や角度、思考する手法はたぶんお互い違うと思うんですけど、共通して持ち合わせている部分があるのは感じますね。
ーありがとうございます。対照的かと思いきやどこかで通じているものがあるというのがいろいろ質問させていただいてとても感じたので、良い掛け算になりどんどん広がっていくのはすごく想像ができるので今後もすごく楽しみですね。
「現代社会人へのメッセージ」
最後の質問ですが、お二人から現代社会、社会人と括った枠の方々へ、メンタル面などから伝えたいことっていうメッセージがあればいただけたらなと思います。
(代表取締役 田中) 最近よく2人で「僕らの製品とかサービスを通じて何が提供できるだろうとか」ということを考えています。
そこで、色々な企業様とのプロジェクトもやっていきたいなという考えに至り、現在、進めていこうとしているところです。世の中の常識や固定概念、習慣など、日本社会ではそこから離れること、「異質である」ことに対して何か違和感を持たれたり、嫌悪されたりする環境があるかと思います。
この様な劣等感や一体性からの乖離による無意味な不安や嫌悪の感情自体に縛られる時間の方が勿体無いなって正直思っています。何でも自分が思った事をはっきり言えばいいわけではないですけど、しっかりと見極め、自分なりの判断基準を設けることが大事ですよね。画一性とか固定観念を元に比較して、自分がこういう風に考えているのは別に良いじゃないかと、自分で肯定していくことも一つの道だと考えます。こういった考えもあって、我々は、コスメとして全うできなかったコスメをコスメという固定概念を超え、アップサイクルすることで、コスメ由来の絵具という新ジャンルの商品を発表した形になります。
(取締役 田中) まったく彼と同意見なのですが、やはり父の言葉を思い出しますね。中学生くらいの頃、父に「みかんの色は何色だと思う?」と聞かれました。
やっぱりオレンジやイエロー系と答えていたんですけど、「本当にそうか?」という問いか けがさらにあり、「みかんっていうのはみかん色でしかない」と父は答えました。みかんは実がなりたての頃は緑であり、黄色であり、成長過程でどんどん移り変わります。そしてこの何色?という問いかけに対して、大体の人は、人にとって都合のいいおいしい実がなるときの色を答えてしまうのです。
これはある意味、固定概念で、もしかしたら 1 クラス 30 人の生徒にみかんの色を聞いた時、たった一人だけ緑!と答える人がいるかもしれない。決して間違いではないのに、その意見を勇気や自信をもって言えるという環境は今、やっぱり少なくて、 固定概念の壁を超えるということは、自身の視野を広げていくためにも、また周りにとっての気づきの起点となるためにも、特に大事なことだと思います。
ー 常識から一歩離れる、固定概念を取っ払うというお考え、確かにこのみかんの色のストーリーでとても考えさせられました。何色だって聞くお父様もすごいですよね。
(代表取締役 田中) 気づかされる部分が多い環境で育ったというか、常識から外れろという意図があったのかと思います。
(取締役 田中) たしかに常識から外れろはあるかもしれないですね。

株式会社モーンガータ関連商品:化粧品研究に基づいた絵具への発想転換
創業者が前職である化粧品の研究開発に従事している時に、廃棄される化粧品の試作サンプルや工場で排出される多量の廃棄バルク(中身)に対して「もったいない」という思いを抱いていた。そこから、アイシャドウやチークなどのラメやパールが入った華やかな化粧品をどうにかして絵具化できないか思案し始めた。
創業者が前職である化粧品の研究開発に従事している時に、廃棄される化粧品の試作サンプルや工場で排出される多量の廃棄バルク(中身)に対して「もったいない」という思いを抱いていた。そこから、アイシャドウやチークなどのラメやパールが入った華やかな化粧品をどうにかして絵具化できないか思案し始めた。